「一脚椅子」が生まれるまで

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「一脚椅子」が生まれるまで・・・

子供一脚椅子後姿

保育の中で生まれた「一脚椅子」。

多くの姿勢が気になる子どもに使ってもらいたいという思いから、「一脚椅子」を作りました。

 

姿勢がいいと健康にいい。

姿勢がいいと学習効果が上がる。

それならば、たくさんの子どもに「一脚椅子」を届けたい。

 

椅子の座面に手をついていないと、座っていられない、体育すわりで話を聞くとすぐに寝転がってしまう子どもに、座っていられる体幹を育てたいと思った理由とは・・・

数年前、保育所で出会った3歳クラスの男の子は、毎朝の集まりで出欠調べや1日のスケジュールを簡単に伝える5分から10分の間も、床に座っていることができず、1分と経たない間に寝転がってしまうのです。しんどいのかなと尋ねても「しんどくない」と言うし熱もありません。

クラスで栽培していたナスとピーマンの収穫後にクッキング保育をしました。いつもグニャグニャしているイメージだったその男の子が、意気込んで右手に包丁を持ち、まな板が置いてあるテーブルの前に立ってナスを切っていくときでした。

驚いたのは、包丁が近づいていくにも関わらず、ナスを押さえている左手が、全く動かず、今にも手を切ってしまいそうなので、後ろから彼の左手に私の手を添えたときでした。

軽くナスを押さえていると思っていた左手の役割は、ナスに手を添えている以上に、肘で自分の体を支えているという状況でした。

包丁を持っている右手は、まな板から浮かしてナスを切っていかなくてはならないため、反対の左手を、体を安定させるために肘に体重をかけて体を安定させていたようです。

 

今までたくさんの子どもとクッキングをしてきましたが、こんな風に左肘で自分の体を支えている子は初めてで、私自身がとても驚きました。

お腹に力を入れてギュッと硬くするということも、イメージがつかめないようで、石に変身したりすることもできませんでした。

給食は椅子の背もたれに、もたれかかって食べるか、テーブルに肘をついて食べる。折り紙は肘をついてするので、可動域が狭くなり、シワになったり破れたり・・・。
本人は一生懸命なのに、うまくいかなくて、イライラしていました。つらいですよね。
そうなると、やる気もどんどんなくなっていき、楽しくなくなっていくという悪循環でした。

そんな子どもが、肘などを使う事なく自分の姿勢を保つ事ができるようになればと考え、ホームセンターで探してきたキットを組み合わせて「一脚椅子」を作りました。

クラスに数脚置き、ほか子どもたちも使えるようにして、3歳児クラス後半から、4歳児クラスと一年半通して使用することで、すっかり姿勢がよくなりました。

 

これが、一本足脚の椅子が生まれるまでの、エピソードです。

最後までお読みいただきありがとうございました。